エステサロンなどで取り扱われている『EMS』は痩身効果やフェイスラインの引き上げなどを目的に、ボディケアやフェイシャルケアとして使用されています。
では『EMS』とは実際にどのような施術なのでしょうか。
EMSを受けたいと考えている方や、はじめてEMSというものを聞いた方でも分かりやすいように解説していきますので、気になる方は参考にしてみてください。
本記事では
- EMSとは
- ENSの種類
- EMSの効果
- EMSを受ける際の注意事項
- EMSのケアがオススメの方
以上の内容を、エステサロンに10年以上勤務し業務用、家庭用の美容機器を施術で使用、販売してきた経験のあるエステティシャンである筆者が解説していきます。
■EMSとは
EMSとは「Electrical Muscle Stimulation」の略で、電気の刺激によって筋肉を鍛える方法です。
通常、筋肉は脳からの電気信号によって動かされていますが、EMSは電気で運動神経に刺激を与え、
筋肉を動かす事が出来るのです。
元々はリハビリの現場やアスリートのトレーニングを目的として作られましたが、現在では疼痛の治療や美容機器としても使用されています。
自分で筋トレを行う際でも鍛えたい部分を意識して行うのは難しいですが、EMSにより意図的に刺激を
与えることによりエネルギーの消費量が高まり、痩身効果や、お顔であればフェイスラインの引き締めなどの効果が期待出来ます。
■EMSの種類
EMSには周波数、パッドの形状などの種類があり、それぞれ効果も変わってきます。
周波数による違い
EMS機器には周波数(Hz)による違いがあります。
周波数が高ければ高いほど、体の深いところまでアプローチすることができます。
EMS機器には低周波、中周波、高周波のものがあります。
低周波
周波数が0.1Hz～1,000Hzのものを低周波マシンといいます。
一般的な家庭用EMS機器はこの低周波のマシンがメインです。
20Hz～100Hzのものが多いマシンになります。
低周波は表層に近い部分の筋肉に効果的なため、顔周りなどの筋肉へアプローチできます。
ピリピリとした痛みを感じることもあります。
中周波
周波数が1,000Hz～10,000Hzのものを中周波マシンといいます。
低周波機器よりも深い皮下2㎝から3㎝の部分までアプローチ可能です。
中周波マシンは業務用も家庭用もどちらでも使用されています。
高周波
周波数が10,000Hz以上のものが高周波マシンと言われています。
中周波マシンよりもさらに深い皮下約10㎝までアプローチすることができるため、自力では鍛える事が難しいインナーマッスルを鍛える事ができます。
高周波マシンは業務用のEMSに多く使用されています。
パッドの形状による違い
EMS機器では、肌に直接パッドを貼ることで電気を流し、筋肉を動かす仕組みになっていますが、
ベルト式でパッドが一体型になっているものと小さなパッドが1枚ずつ分離されているものがあります。
ベルト一体型式パッド
ベルト式のパッドでは、パッドが一体型になっているものが多く、家庭用EMS機器に多く見られます。
メリットとしては始めてEMSを使用する方でも巻くだけで使用できるため、分かりやすく固定されているので使用中にズレてしまう心配がないことです。
デメリットは様々な場所を鍛えたいと思った際に、その部位専用のパッドが必要になったりピンポイントで鍛えたい筋肉に当てるのが難しい場合があると言う部分でしょう。
パッドが分離しているタイプ
1枚ずつのパッドの場合は業務用EMS機器で多く使用されています。
メリットとしては鍛えたい部位にピンポイントで貼ることが出来るため、より効果的に筋肉を鍛えることが可能になります。
一方で、デメリットと言えば筋肉の位置を把握していなければ効果的に使用出来ず思ったような効果が得られない場合があります。
家庭用EMS機器もこの1枚ずつのパッドのタイプもありますが、トレーニングや講習を受けずに使用するのは難しいため、事前にしっかりと講習を受けるか、プロに相談するのがオススメです。
■EMSの美容効果
EMSは元々宇宙飛行士など運動が難しい状況での筋肉を落とさないために使用されていたり、怪我をした場合のリハビリなど医療やリハビリの現場で使用されてきましたが、ここでは美容面での効果を紹介していきます。
痩身効果
痩身エステサロンなどでもEMS機器は使用されています。
ですが、他にもエステサロンなどで使用されるラジオ波やキャビテーションなどの機械は脂肪層に働きかけるものが多いのに対して、EMSは基本的に筋肉に対して運動効果をもたらすものなので、一度の使用で見た目が大きく変わるかというとサイズダウンの効果は実感しにくい面があります。
よく家庭用のEMSでも効果が感じられなかったいう方もいますが、もちろん、正しい使い方をしていたかどうかにも関わってきますが、EMSには直接的な脂肪燃焼効果や体重減少の効果はないため、使用してすぐは見た目での効果を実感しにくい方が多い場合があります。
逆に、EMSは電気により筋肉を動かして筋トレのような効果がありますので、定期的に使用することで筋肉量が増えるとその分体重も増加することがあります。
ですが、筋肉量が増えると代謝が上がって痩せやすくなりますので、一時的な体重の増加があっても継続的に運動を行ったり、その他規則的な生活習慣を心がけることで脂肪燃焼や体重減少にもつながってきます。
また、筋肉量がアップすると、代謝があがるだけでなく筋肉がついた部分が引き締め効果もあります。
たとえばお腹周りの筋肉が強化されるとウエストが引き締まったり、ぽっこりお腹が引き締まって見えます。
特に、インナーマッスルと言われる体幹の部分を鍛えることによって姿勢が維持しやすくなり、正しい姿勢がとれることによって、後ろ姿がきれいにみえたり、バストの位置がアップしたりなど、全身に良い影響が期待出来ます。
機械によって、また家庭用機器と業務用機器でも筋肉のどこに効果があるかが変わってくる場合があります。
例えば家庭用の機器の場合、アウターマッスルと言われる体の表面に近い部分にある筋肉に作用するものが多く、その場合、体幹であるインナーマッスルにはあまり効果がない場合もあります。
筋肉の鍛えたい部分に合わせて、インナーマッスルに効果がある機械なのかは使用する前に事前に確認するとよいでしょう。
自分でなかなか判断が難しい場合はEMS機器を使用しているサロンなどでプロに相談するのがオススメです。
美顔効果
EMSはフェイシャルサロンなどでも多く使用されています。
肌表面のケア、たとえば角質の除去や毛穴のケアなどについては、専用の機器や化粧品を使用してのケアが向いています。
EMSはお顔の場合でも筋肉に作用しますので、顔のたるみ改善、フェイスラインの引き締め、血流改善による肌のターンオーバーの改善などの効果が期待出来ます。
顔には30種類以上の筋肉があり、日常生活ではそのうち2～3割しか使われていないと言われています。
特にマスク生活が始まったり、リモートでのお仕事で人と話す機会が減るとさらに使う機会が少なくなりました。
筋肉は使用していなければどうしても衰えてしまうので、たるみやほうれい線、シワなどの原因になり疲れてみえたり年齢よりも年上に見えてしまいます。
そこで普段使われていない筋肉に対してEMSを使用して刺激を与え、電気の力で動かす事で引き締まった顔の印象へと改善することが期待できます。
筋肉が動いていない部分というのは、体も同じですが流れが悪くなっており、血流やリンパの流れも悪くなっている事があります。
血流やリンパの流れが悪くなると、顔の細胞、つまり肌の細胞へ必要な栄養や酸素、水分や届けられなくなるため肌の乾燥など様々な肌トラブルが起こりやすくなります。
リンパの流れが悪くなると、顔に老廃物が溜まってしまい、むくんでパンパンにみえてしまうことも。
EMSを使用すると筋肉が動くことでお顔全体の血液やリンパの流れが改善し、良い栄養がしっかり届けられ、不要な老廃物が排せつされるため、肌質の改善やむくみの解消にもつながります。
■EMSを受ける際の注意事項
ここまでEMSを使用した際の美容効果などメリット面をご紹介してきましたが、EMSにも使用の注意事項があります。
まずはEMSも電気を使用する機械になりまので、他の美容機器などと同様の禁忌事項があります。
例えば
- ペースメーカーを入れている方
- 過去に手術などを行い体に金属が入っている方
- 心臓病など持病のある方
など、
使用する機械の注意事項をよく読み、また、サロンで受ける場合には必ず気になる点はスタッフに確認を行ってください。
持病があり心配な方は必ずかかりつけの医師に確認してから受けるようにしましょう。
また、EMSは粘着性のあるパッドを使用することが多いのですが、粘着パッドも消耗品で使用回数の目安があります。
もったいないからと使用回数を超えて使用すると粘着パッドが劣化して、通電しなかったり、場合によってはやけどなどの危険性もありますので、自宅で使用する場合には説明書をよく読み使用回数を守ってください。
たまに肌が敏感な方、肌が敏感な時期(女性であれば生理前後など)に使用したことでパッドで肌がかぶれてしまったり使用中に肌表面にピリピリとした痛みがあることもあります。
ご自分の体の調子を考慮して無理なく行いましょう。
■EMSのケアがオススメの方
ここまでEMSの種類や効果についてご紹介してきましたが、
EMSでのケアは以下のような方にオススメです。
【ボディ】
・筋力をつけて体力をつけたい方
・筋トレしたいが自分で鍛えることが難しい方
・自分でも筋トレしているが、鍛えるのが難しい部分がある方
・ダイエットで体重は落ちたが、ボディラインのメリハリが欲しい方
【フェイシャル】
・顔全体のたるみや血色を改善したい
・目のクマや顔のくすみが気になる
・フェイスラインを引き締めて小顔を目指したい
・人と会う機会が減り表情筋を使えてないと感じる
EMSの美容機器といっても様々なタイプがありますので、自分の悩みに対してどの機械が効果的かよく
調べてから使用して頂くことでより効果を実感しやすくなると思います。
家庭用で使用する場合は注意事項を良く読み使い方を守って安全に使用しましょう。
自分では難しいなという場合はエステサロンやトレーニングジム、整体院などでプロの方と相談し施術を受けるのも良いと思います。
悩みに併せてぜひEMS機器を活用してみましょう。
美容業界ではどんどん新しい機械や化粧品など毎年のように出てきますが、ただ流行に乗るのではなく、ご自身のお悩み、そしてそのときの体やお肌の状態に合う方法を選んで頂けるよう、これからも情報を発信しますので今後も参考にして頂ければ幸いです。
ここまでお読み頂きありがとうございました。
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